ふたたび台頭する新型工業化基地、曹妃甸

河北省にはここ数年、注目に値する地方が2つある。一つは雄安新区で、この地域には今後北京の非首都機能のプレッシャーを緩和するため、大学・研究開発・国有企業本社の一部が移転される予定だ。もう一つは曹妃甸区で、北京・天津などの地の一部の工業が今後ここに移転していく。

雄安新区は面積が2000㎢で、深圳(1997㎢)より3㎢だけ大きい。曹妃甸区は2012年に国の許可により成立したもので、1943㎢で、雄安新区とたいして変わらないが、時期は雄安新区よりも5年も早い。

曹妃甸地区設立の重点は工業にある。首都鋼鉄がここに移転したため、ここは見たところ八幡あるいは君津のような、銑鋼一貫の臨海製鉄所のように思える。しかし八幡や君津などと比べると、製鉄所周辺には鉄鋼原材料加工工場の集積に欠き、市区の人口状況からみても、八幡や君津のような新産業基地は形成されていない。しかし、これが八幡あるいは君津のひな形により似ている。

北京から曹妃甸区へは車で200キロ、2時間で到着できる。途中、華電重工、三孚硅業などの発電所・化学工場を見かけた。海にまで達しないうちに、高くそびえ立つ風力発電機が目に入り、新エネルギー開発がまさに積極的に行われているのを見て取ることができた。

曹妃甸新興産業園区投資貿易促進センターの高昇主任は、ここの港について以下のように紹介してくれた。この港は渤海湾における唯一の不凍港で、40万トンの貨物船が横付けできる。ブラジルの40万トンの貨物船がちょうどここに停泊しており、クレーンのショベル1杯で45トンの鉄鉱石を船の中から運び出し、倉庫に通じるベルトコンベアに移し替えている。首都鋼鉄だけでなく、河北のその他の鉄鋼工場で使用される原料も、かなりの部分がここから輸入される。同時に曹妃甸区はすでにアフリカやブラジル、オーストラリアなどの42カ国・地域との直航を実現させている。モンゴル・河北鉄道が開通し、水路・鉄道・陸路の「三つの道」で並行して運ばれる。

人口から見ると、深圳には1250万人、雄安にも104万人がいるが、面積がほぼ等しい曹妃甸は今のところわずか32万人に過ぎず、これはたぶん装置産業のインテリジェント化発展により必要とされる労働者が比較的少ないことと関係する。このほか、曹妃甸の金属加工業はいまだ樹立されておらず、今ある首都鋼鉄および数社の重化学工場が提供する資源をうまく使い、精密加工を行えば、ここは同じように人気を集めることができるだろう。

関連加工企業はどこからやって来るのか。高昇主任の企業誘致の方向からみると、北京・天津・河北の一体化以後、北京・天津の産業は分散・移転し始め、曹妃甸は北京・天津・河北の唯一の共同発展モデル地区となっている。北京・天津の企業が曹妃甸に移転すれば、企業名称は変わらず、ハイテク資質を踏襲し、子女の学校教育も北京の教育資源を利用することができ、従業員の医療は北京の医療施設を享受できるなどのソフトの強みを持つ。現在、毎日のように北京・天津のハイテク企業の移転契約が結ばれているという。

曹妃甸において、筆者はここに中日韓リサイクル産業モデル基地があり、日本および韓国企業の入居のための準備がしっかりと整えられているのを目撃した。高昇主任は日韓企業がここに投資して工場を建設するのを歓迎すると何度も語った。

北京・天津・河北の一体化の中で、北京と天津には行政という特徴があり、雄安は研究開発の中心、そして曹妃甸は重要な新型工業生産地区であるべきで、今後多くの産業が曹妃甸に移転してくることだろう。

中国日本商会HP2018年7月23日

ふたたび台頭する新型工業化基地、曹妃甸


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