中國のQ&Aサイト「知乎」で今とても熱い話題がある。月収5萬元の人が月収5000元の人みたいな生活を送るのをどう思うか、というものだ。すぐさま人々の回答を一つひとつ見ながら、ひそかに自分の収入を思い浮かべて考え始める。

たまに北京の國貿まで行き、そこから日本商會のある建國門まで歩くことがあるが、路上には思い思いにおしゃれをした男女がいて、ヴィトンのバッグを持っていないとしても、スタバのコーヒーを手にしていて、これらは中國のミドルクラス(中産階級)の標準裝備と言える。月収5萬元は日本円に換算すると80萬円となり、日本の中産階級の所得とほぼ一致しており、手に持つスタバのコーヒーの値段は東京に比べ倍近いものの、中國の消費者にとってはそこそこといったところだ。しかし、國貿から建國門にかけての中産階級の人たちと座っておしゃべりしてみると、その狀況は東京に比べて良いとはいえないようだ。

バーチャル・ミドルクラス

たとえば、彼らの大多數は北京にやって來てさほど経っておらず、スタバのコーヒーは飲めても、1平方メートルあたり2000元でも誰も買わなかった住宅商品化時代の恩恵は受けられず、ベンツを運転できても、20年前に自転車を買ったときほどにはその便利さや価値を感じることができない。自分で買った住宅費は高く、子どものために納める教育費は巨額で、年老いた両親の病気治療代や生活費の出費はまるで底なし沼だ。ヴィトンのバックの中に入っているクレジットカードには、少ないとはいえないローンを抱えていて、家を買い、車を買ったときの銀行ローンがさらに山のように重くのしかかり、息もつけないほどに圧迫されている。

バーチャル・ミドルクラス

そのために、時に極めて奇妙な現象が起きる。ベンツを運転している人が、1元の駐車費用のために駐車管理をしている出稼ぎ労働者と口喧嘩する。晝ごはん時になると、多くの人がデリバリーを頼まず、長い行列を作って比較的安いハンバーガーを買う。スーパーでは閉店間際に突然客が増え、おしゃれな格好をした若者も値引きされた食品を買う。

西南財経大學の『中國家庭金融報告』によると、中國では貯蓄が最も多い10%の家庭が全貯蓄の75%を佔め、その他の35%の比較的貯蓄が多いとされる家庭がそのうちの25%を佔める。殘りの55%の家庭の貯蓄はどれほどかというと、その答えは「ゼロ」である。

東京で月収80萬円の人は、失業しても各種の社會保険があり、數年ないしは十數年は生活することができるが、中國ではたとえ國貿や建國門などのモダンな高層ビルで働く人であっても、かなりの人が失業するなり無一文となってしまう。

「ヴィトン」のカバンを背負ったあのおしゃれな男女たちの多くが、「バーチャル・ミドルクラス」なのかも。

中國日本商會HP2018年9月5日

バーチャル・ミドルクラス


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